運動会

子供の運動神経は、父親や母親から遺伝するのでしょうか?

運動神経と、運動能力というものがあって、二つは別のものです。

 

運動神経と運動能力の違い

運動神経は、反射の速度、人の動きを見て自分も同じ動きをマネすることができる、身のこなしがいいなど、状況に応じて臨機応変に体を動かせることを運動神経がいいと言います。

簡単に一言でまとめると、器用に体を動かせる人と言ってもいいと思います。

 

一方、運動能力は体の骨格、筋力の強さ・しなやかさ、筋や腱の柔らかさ・俊敏さ、瞬発力系の競技が向いているか、スタミナ系の競技が向いているか、こうした体の資質のことで、持って生まれた才能です。

もちろんトレーニングすることによっても鍛えられますが、資質・才能という点ではどうすることもできず、決まってしまっています。

 

運動神経は子供のときの運動量、運動能力は遺伝で決まる

そして、運動能力は遺伝の要素が大きいけれども、運動神経は遺伝よりも小さい頃に子供がどれくらい体を動かすことによって、体の動かし方を覚えたかによる影響が大きいと言われています。

 

なので、運動神経が悪かった父親、母親の子供でも、子供の運動神経が悪くなるとは限りません。

重要なのは、子供が幼いうちにどれくらい体の動かし方を覚えたかです。

運動神経のいい子供は、頭で想像したとおりに、自分の体を動かすことができます。

運動神経を良くするには、適切な時期に、一つのスポーツに偏ることなく、様々な体を動かす体験をさせることが大切です。

 

よくアメリカのスポーツ選手なんかは、学生時代は複数の種目をやっていたという人が多いですよね。

後で、どれか一つのスポーツを専門にするにしても、以前にやっていた別のスポーツの体の動かし方が役立つことがあるという考え方です。

 

体を動かせば動かすほど、運動神経も良くなっていきます。運動神経が良くなれば、さらに運動が楽しくなって、体を動かすようになっていきます。

こうした好循環に入っていくためにも、子供には運動の楽しさ、向上していく喜び、探求する好奇心、こうしたことを感じさせながら、取り組むことが大事です。

 

運動神経を鍛えるには12歳までが重要

子供が体の動かし方を効率よく覚えられるタイムリミットは、12歳までと言われています。

ほぼ小学生までということですね。

脳の神経を伝達する仕組みが発達するのか、3歳くらいまでに80%、6歳くらいまでに90%、12歳くらいまでに100%になるのが、その根拠とされています。

 

子供の運動神経を良くするために父親・母親ができること

子供に楽しく運動してもらうために、怒ったり、強制したりしてはいけません。

できた時には褒めてあげることで、新しいことができるようになる喜びを覚えてもらうことも重要です。

 

好奇心や子供本人が楽しんでいることが大事なので、「それは危ないからダメ」「汚れるから止めて」とせっかく子供が体を動かしたがっているのを止めてしまうのは勿体ないです。

ケガをしたりする危険があるのは困りますが、転ばないようにいつも手を引いてしまうのではなく、転んでも頭をどこか柱の角にぶつけたりしないようにするなど工夫して、たくさん動けるようにしてあげましょう。

転ばないようにするのではなく、転んでも大きなケガをしないようにしてあげることが大事です。

 

泥遊びも子供にとっては学びがあって、重要です。洗濯が大変なのは分かりますが、汚れてしまうからとすべて止めてしまうのは勿体ないです。

 

子供本人が、積極的にいろんな体を動かす遊びをするかどうかは個人差があります。あまり子供が体を動かさないようなら、親のほうでいろんな遊びの中で体を動かせるように促してあげることも大事です。(強制にならないように)

 

色々な遊び、運動をして、子供の向き・不向き、好き・嫌いを知っていくお手伝いをしてあげましょう。

 

では、12歳までに、どんな体の動かし方を覚えればいいのか、年齢別に見ていきましょう。

 

子供の運動神経を鍛える方法

運動会の徒競走

0歳~1歳の子供と運動神経

乳幼児は、たくさんスキンシップをしてあげることがまず大事です。

五感が未発達なので、自分の体のどこを触れられると、どう感じるかといったことから覚えていきます。

ベビーマッサージをしてあげたり、赤ちゃん体操をしてあげたりすると、こうした感覚が発達します。

 

日々、赤ちゃんは成長していくので、その成長に合わせて新しい刺激を与えてあげるといいです。

首が座ったら、おんぶしてあげることで、赤ちゃんが周囲を見ることができます。

 

読み聞かせをしてあげたり、いろんなものを触らせてあげたりすることが大事です。

ものを口に入れてしまうことも多いでしょう。口に入れて危ないものはダメですが、赤ちゃんにとっては口に入れてみるのも大事な学びです。安全なものなら、させてあげましょう。

 

立てるようになったり、歩けるようになったら、たくさん運動させてあげましょう。

外遊びも、赤ちゃんにとっては新しい刺激がたくさんありますから、できるだけさせてあげましょう。

 

2歳、3歳、4歳の子供と運動神経

運動神経を鍛えるには、とにかく体を使って遊ばせるのが大事。

室内でも体を使った遊びはできますが、できることが限られてくるので外でたくさん遊ばせるのが一番。

砂場遊び、三輪車に乗る、かけっこ、球遊び、マット運動、プール遊び、ブランコ、平均台わたり、馬跳び、トランポリン、木登り、体を使って遊べることなら何でもするといいです。

跳ぶ、走る、踊る、転がる、滑る、泳ぐといった様々な動きをすることでバランスよく色んな動きを覚えることができ、運動神経がいいという状態に近づいていきます。

 

こうした様々な遊びをしていた子供のほうが、何か特定のスポーツだけをしていた子どもよりも運動神経が良くなるという研究結果もあるそうです。

 

室内では父親に協力してもらおう

いつも外遊びとはいかないでしょうから、室内では父親が協力してあげると子供はいろんな遊びができます。

父親の体をよじ登ったり、布団の上で相撲をしたり、前転をしたり、親子で楽しみながら遊ばせてあげましょう。

 

5歳、6歳、7歳、8歳の子供と運動神経

この年齢になると、集団競技やルールが少し複雑なスポーツなんかもできるようになってきます。

もちろん、そういったスポーツに取り組むのはいいのですが、まだまだ一つの種目に絞るのは早い時期です。

一つのスポーツだけでなく、いろいろな競技を並行して取り組むといいです。

 

ボールを使った球技、自転車や縄跳び、鉄棒などの道具を使ってする遊びをすることで、これまでより複雑な体の動かし方を覚えていきます。

 

それとともに、集団で遊ぶことによって友だちと協力・工夫することを覚えていくのも大事です。個人種目であっても、友だちと一緒に取り組むことで、一緒に頑張ることや競い合うことで、より成長していく体験ができるといいです。

 

どんなスポーツにも対応できるように運動神経が発達する時期なので、今後の運動神経に関係する基礎的な動きを習得できるラストチャンスです。

将来、この種目でプロになりたいというものがあるなら、一つだけに絞らないほうがいいですが、この時期に始めておきたい年齢です。

 

父親・母親にできること

休日には家族で自転車の練習をしたり、キャッチボールをしたりして、道具を使って楽しく遊ぶことを教えてあげるといいでしょう。

他の子供たちと遊ぶ時に、ルールを守りながら協調して楽しく遊ぶことができるように準備をしてあげましょう。

一人だけ自転車に乗れない、自転車を持っていないという状況になるのは、ちょっと可哀想な気がします。

 

9歳、10歳、11歳、12歳の子供と運動神経

子供自身に、どういったスポーツや競技が好きか、好みが出てくる時期です。

といっても、親や友だちの影響、テレビや漫画の影響などでまだまだ好みが変わる時期でもあります。

 

そろそろ1つの種目に絞ったほうがいいのではと考える人も多いかもしれませんが、この時期も複数の種目に取り組んだほうがいい時期です。

 

陸上、水泳、球技、鉄棒やマットなど体操、体育で取り組むようなものは一通りやったほうがいいですし、それ以外の種目でもどんどんチャレンジしてみたほうがいいです。

サッカー、野球、バスケットなど好きなスポーツがあって、地域のスポーツ少年団や学校のクラブに通っている子供でも、それとは別にプールで泳いだり、体操をしたり、様々な運動をしたほうがいいです。

 

これくらいの年齢になると、脳の神経を伝達する仕組みがほぼ発達しきってきます。

これまでに様々な体の使い方を覚えて、運動神経を鍛えてきた子供なら、一度見ただけで新しい動きをすぐに習得できたり、頭でイメージした動きをすぐに再現したりといったことができる、いわゆる運動神経のいい子供になれる時期です。

 

鍛えた運動神経を発揮するのはこれから

12歳までに、様々な運動をして運動神経を鍛えてきた子供なら、いよいよ中学生、高校生になってその効果が花を開いてきます。

 

プロのスポーツ選手になるのではなくても、体力や健康といったことにも影響しますので、運動好きは大人になってからも影響してきます。

スポーツをすることで体だけでなく心も鍛えられますので、就職の面接などでも有利に働きます。

 

ぜひ子供が運動好きになるよう、運動神経を鍛えてあげてください。