長距離走を速く走るには、コツがあります。

速く走れるようになる方法、走り方、フォームをお伝えします。

長距離走(持久走)を速く走れるようになるには、長距離走のことをよく知っておく必要があります。

やみくもに練習しても効率がよくありません。まず練習する前に、知っておきたいことをまとめてお伝えします。

これを読めば、きっとあなたも速く走れるようになりますよ。

長距離走(持久走)を速く走る5つのコツ・方法

1 気合いは入れずに、気持ちは楽に

気合いを入れすぎないほうが、長距離走ではいいです。

短距離走なら、気合いを入れてアドレナリンが出ているくらいのほうがいいとも考えられますが、それでも力みは良くないと言われています。

長距離走は長丁場ですので、気合いで乗りきれる距離ではありません。

それよりも、むしろリラックスすることのほうが大事です。

体に余分な力みがあると、早く疲れてしまいます。

気持ちの面でも、あまりプレッシャーをかけすぎると心が折れてしまいやすくなります。

ゆったりとした気持ちでいるほうが、必ず来る、辛いタイミングも乗り切りやすくなります。

2 デッドポイントをいかに乗り切り、セカンドウィンドに入るか

長距離走では、必ず辛い・苦しいタイミング・時間帯があります。

これを「デッドポイント」と呼びます。

一方で、フッと体が楽になるタイミング・時間帯もあります。

これを「セカンドウィンド」と呼びます。

この二つは、長距離走をしていると、必ず両方あると思います。

デッドポイントは、心肺機能の酸素供給が追いついておらず、筋肉に酸素が十分に供給されていない状況です。

セカンドウィンドは、心肺機能の酸素供給が十分にあり、筋肉に酸素が行き渡っている状況です。

デッドポイントは、はじめの1km~3kmくらい、走り始めた前半に来ることが多いです。

デッドポイントが来たらどうするかですが、走り始めて最初のデッドポイントでは、ペースを落とさずに同じペースで走り続けることをおすすめします。

心肺機能が走るペースに慣れるまでは少し時間がかかるので、同じペースで走っていると心肺機能が慣れてきて、セカンドウィンドに入ることが多いからです。

なので、ペースを落とさずに走るほうがいいです。

このセカンドウィンドに入った状態が好きで、長距離走を走っている人も多いのです。

自分が走り始めてから、どれくらいの時間や距離で苦しくなり(デッドポイントに入り)、同じペースでどれくらい走り続けるとセカンドウィンドに入るのかを知っておくと、デッドポイントを我慢しやすくなります。

(練習時に、デッドポイントとセカンドウィンドを意識しておくことで、だいたいの自分のデッドポイントに入るタイミングと抜けるタイミングを把握することができます。)

また、ウォーミングアップをしっかり行うことで、デッドポイントの苦しさを軽減することができます。

3 準備体操(ストレッチ)とウォーミングアップ

準備体操とウォーミングアップは、長距離走の前に必ず行ってください。

準備体操とウォーミングアップは走る準備という意味では同じですが、その効果を分かりやすくするために、あえて分けてみると、

  • 準備体操やストレッチは、主に筋肉や腱などの準備
  • ウォーミングアップは、主に心肺機能の準備

と言えます。(あくまで、「主に」です)

準備体操(ストレッチ)

体操やストレッチをすることにより、体がやわらかくなり、ストライドが長くなったり、筋肉がスムーズに動いたりして、速く走れる効果があります。

筋肉の硬直や腱の損傷を予防するなど、ケガを防ぐ意味ももちろんあります。

アキレス腱、ふくらはぎ、前もも、裏もも、肩まわり、首といった走ることにより負荷のかかりやすい部位を中心にしっかりストレッチを行いましょう。

ウォーミングアップ

さきほど、2でお伝えしたデッドポイントは、酸素不足で起きます。

心肺機能が、急な運動に追いつけず酸素の供給が間に合わなくなるからです。

つまり、ウォーミングアップでは心肺機能に負荷をかけて、運動時の酸素供給に対応する準備をしっかりさせることが大事になってきます。

心肺機能がしっかりと準備をしておかないと、走り始めてからすぐにデッドポイントが訪れて、さらにデッドポイントが長引くことになります。

デッドポイントの時間が長くなれば、苦しい時間が長くなるのでタイムは伸びません。

ウォーミングアップをしっかり行い、デッドポイントの時間を少しでも短くしましょう。

なので、ウォーミングアップでは、心肺機能に軽く負荷をかけることが必要になります。

体操やストレッチでは、筋肉を伸ばす効果はありますが、それほど心肺機能に負荷はかかりません。

何をするのが良いかというと、3分~5分くらいジョギングをするといいです。

このウォーミングアップで疲れてしまってはいけませんから楽なペースでいいです。

うっすら汗をかくくらいに軽く走っておきます。

さらに、50mくらいの距離を、80%くらいの力でダッシュしておきます。

レース前には、ジャンプをしたり、手足をぶらぶら振ったりして、体が冷えないようにします。

4 走るペース・序盤の入り方

長距離走(持久走)において、走るペースはとても大事です。

特に、レースの序盤をどれくらいのペースでは走るかというのは、難しい問題です。

長距離といっても、おそらく人によって、かなり距離が違っているはずです。

1500mや2000mくらいの距離から、フルマラソンや100kmマラソンの距離まで様々です。

プロのランナーは1500m~5000mくらいはまでは長距離というよりも中距離と呼んだりしますが、素人にとっては長距離みたいなものです。

さて、序盤の入り方ですが、あなたがどのような状況や気持ちでレースに臨むのかによって、変わるのかなと思います。

初めて挑戦するような距離、タイムよりも完走することが目標の場合には、ゆったり目で序盤は走ったほうがいいのかなと思います。

初めて走る距離では、終盤で想像以上に疲れてしまう可能性があります。

体力を温存しながら、余裕があれば、残りの距離を見ながらペースを上げていくほうが目標を達成しやすいでしょう。

完走することはもちろん、タイムの目標がある人はレース序盤から、ある程度のスピードで入っていかなければなりません。

慣れるまではペースが辛く感じられても、セカンドウィンドに入ればそのスピードで押しきれる可能性があります。

同じ距離を何度か走ったことのある経験があって、以前よりも速く走りたいのであれば、若干きついかなというペースで思い切って序盤から入ってみるという方法もあります。

ただ個人的には、少し余裕を持って序盤は入って、自分の体調や体力を感じながら、終盤に向けてペースを上げていくほうがいいのかなという気がしてはいます。

もう一つ注意したいのは、あまりペースを速くしたり、遅くしたり変えすぎないこと。

基本的には、一定のペースで走るほうが体への負担は少なく、楽に走れるはずだからです。

5 食事と水分補給

長距離を走るのには、エネルギーが必要です。

しっかりと食事をしてエネルギー補給はしておかなければなりません。

ただ、もちろん走る直前に食べるのでは、消化器官が忙しいタイミングで走らなければならなくなるので、危険です。

走る1時間~2時間くらい前に、エネルギーになりやすいものを食べるのがいいです。

フルマラソンくらいの距離を走るのであれば、走る2時間くらい前にお米をしっかり食べるほうがいいでしょう。

腹持ちがいいものを食べないと、体が持ちません。

スタートの時間まで、それほど時間がないのにエネルギー補給をしたい時や、トライアスロンや100kmマラソンなど、走りながらエネルギー補給をするような時は、消化がよくすぐにエネルギーに変わるバナナはオススメです。

果物のジュースも、水分補給とともに糖分の補給にもなりますので、オススメです。

それから、走り始める前にも水分補給はしっかり行っておきます。

少し多いかなと思うくらいの水分量を補給しておいたほうがいいです。

コップ1杯は必ず、2杯分くらいは飲んでおくのがオススメです。

走っていて、喉が渇いたと感じた時には、すでに体内の水分量は足りておらず、体に疲れが溜まり始めています。

長距離走(持久走)を速く走るフォーム・走り方の5つのコツ

長距離を走ること=長時間、体を動かすこととも言えます。

そのためには、なるべく余分なエネルギーは使わずに走ることが重要になります。

余分なエネルギーを使わないためには、正しいフォームで走ることが必要です。

正しいフォームで走るために気をつけたいポイントを紹介します。

1 背筋を伸ばす

走り方には個性があり、人によってフォームは違うものですが、多くのトップランナーの姿勢はよく、やはり背筋は伸びています。

姿勢がよく、上体が安定しているほうが腕の振りと脚の運びの連動もよくなります。

上体がブレると、生まれたエネルギーが無駄に消費されてしまい、前に進む力に効率よく変わっていきません。

また、姿勢が悪いと、内臓などの器官も圧迫感がある状態ですから、疲れやすくなります。

胸を張るように意識すると、背筋は伸びます。この状態で走り続けることで、上体が安定します。

ただこの姿勢をずっと維持するのは、実はけっこう大変です。

腹筋、背筋など体幹の筋力も必要になり、長距離を効率よく走るためには、脚の力だけでなく、こうした筋肉も重要になってくるということです。

長距離を走り始めてすぐは体幹も鍛えられていないので、上体を安定させるための筋肉も疲れてしまい、背中が丸まったり、仰け反ったり、左右にブレたりして、走るのが余計に辛い状況になりがちです。

姿勢はマラソンでも重要ですが、なかなか姿勢を正し続けるのは難しいものです。

そのようなあなたはこちらのシャツを着てみるのをオススメします。

このシャツは姿勢を正してくれます。

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2 わずかに前傾姿勢で、骨盤を意識する

骨盤を高くする意識を持つと、それだけ下半身を効率よく動かせます。

足が少し長くなったかのように走れます。

長距離走を走る時には、わずかに前傾姿勢のほうが前に進む推進力が生まれやすくなります。

前傾姿勢といっても、背中を丸めるわけではなく、背筋を伸ばしたまま身体全体がわずかに前傾するのがいいです。

骨盤がわずかに前傾していると、上体を真っ直ぐにしたまま前傾姿勢になります。

この姿勢を長時間保つのも難しいですから、長距離走の練習の時に気をつけるのはもちろん、日常生活でも骨盤を高くして、わずかに前傾にする癖をつけるといいです。

ちなみに日常生活でも、この姿勢に慣れてくると疲れにくくなります。

3 足は体の真下に下ろす

足の着地点は、無駄なく走るためにとても重要なポイントです。

結論を先に伝えると、足は体・重心のちょうど真下にくるように下ろすのが一番いい走り方です。

体より前に足を下ろすと、足のついた方向と真逆の方向に反発の力が生まれるので、ブレーキになる力も生じてしまいます。

地面に着いた前足の力で、身体を前に運ぶことになるので、前足の太ももとふくらはぎの筋肉に、一歩進むたびに負担がかかります。

長距離ともなれば、この蓄積はとても大きなものになります。

長距離走では、少しでも足の筋力を無駄遣いしないフォームが大事になります。

また身体よりも後ろで着地をするのも、スムーズな体重移動を妨げることになってしまいます。

前傾姿勢になりすぎてしまうので、次に踏み込む足で踏ん張らなくてはならなくなります。

こちらも太もも、ふくらはぎの筋肉に余計な負担をかけてしまいます。

身体の重心の真下に足を着地して、そのまま自然な流れで足を後ろに流す走り方が、最も余計な体力・筋力を使わずに体重移動をして走ることができます。

4 足の裏の着地方法

足を地面に付ける位置も大事ですが、足の裏のどの部分から地面につけるかも大事です。

着地するタイミングで膝が伸びている状態だと、地面からの反動の力を次の足の運びの力に変えられず、ブレーキが掛かってしまいます。

また、膝や腰にも衝撃が伝わりやすく、ケガもしやすくなります。

やや膝を曲げた状態で、地面からの反発の力を次の動きへの力に変えて、ボールが弾んでいくようなイメージで着地するといいでしょう。

足の裏は、かかとから地面につけて、自然と体重移動で前へと重心が動いていき、最後はつま先で地面を蹴るようにするのがいいです。

つま先から着地をしてしまうと、膝を伸ばして着地した時と同じように、前に出ようとする身体の動きにブレーキを掛けてしまいます。

また、つま先立ちのような状態が続くので、ふくらはぎの筋肉も疲れてしまいます。

長距離走には、向かない走り方になります。

そのため、長距離走(持久走)では、かかとから着地して、つま先で最後に地面を蹴るというのが自然ないい走り方になります。

5 足(太もも)は高く上げない

短距離走では、足を高く上げるほうが良いですが、長距離走では疲れてしまうので、あまり高くあげる必要はありません。

上下動は減らして、エネルギーを節約しつつ、小さなエネルギーで前にだけ進むほうが長距離走には合っています。

6腕を振る

走るというと、どうしても意識が脚に向かいがちですが、実は腕を振ることは非常に重要です。

腕の動かし方で、脚の運びが変わってくるからです。

まず、一番重要なことは腕の振りの向きです。

腕はまっすぐに振ることで、前に進む力を生みます。

横に振っては、エネルギーも前にではなく、左右に動く力になってしまいます。

それとともに、しっかり腕を振ることです。

といっても、短距離走の時のように力強く腕を振っていたのでは腕も疲れてしまいます。

長距離走では、腕振りの振幅も小さくなります。

まず、肩の力を抜きましょう。

自然に肘を落として、肩をあまり前後に動かしすぎずに、まっすぐ前後に振ります。

肩は動かしすぎても、固定しすぎてもよくありません。

肩に力が入っていると、上体まで揺れてしまい、スムーズな走り方になりません。

肘は90度になるくらいに曲げた状態を維持します。

手も軽く握るくらいです。

長距離走の後半になり、下半身が疲れてきて、腕を振る力はまだ残っているなという時は、少し意識して力強く腕を振ると、足が前に出やすくなります。

腕振りは、前よりも後ろに振ることを意識しましょう。

前に振る時は、それほど意識しなくても振れますが、後ろは意識しないと振りが小さくなりがちだからです。

7 呼吸法

長距離走では、心肺機能による酸素の供給が大事なので、呼吸法もとても大事になってきます。

鼻で吸って口で吐き出すのがいい、「二吸い、二吐き」「二吸い、一吐き」といった呼吸法がランニングにはいいと言われています。

吸うよりも吐くことを意識したほうがいい、という話も聞きます。

こうした呼吸法がいいと言われていますが、試してみて呼吸しづらかったら、無理にこの方法で呼吸する必要はありません。

「一吸い、一吐き」で音にすると、「スー、ハー、スー、ハー」のほうが呼吸しやすいという人もいます。

自分に合った呼吸法で走るほうがいいです。

自分の走るリズムに合った呼吸法を見つけておきましょう。

個人的には、鼻から二回吸って、口から大きく一回吐く呼吸法が走っている時には楽です。

音にすると「スッ、スッ、ハー」みたいな呼吸法が自分には合います。

長距離走(持久走)を走るコツ!速くなる方法・走り方とフォームを練習で試す

長距離走を速く走るコツとフォームを紹介してきましたが、どうでしたか。

難しそうでしょうか。

長距離走は、練習によって記録が伸びていきやすい種目です。

紹介したコツやフォームも、いきなり本番でやろうとしても難しいですから、必ず練習で意識して走ってみてください。

ただし、長距離走は練習のしすぎもよくありません。

疲れを体に溜めてしまうからです。

一日おきくらい、週に3~4回くらいの練習がベストです。

詳細はコチラの記事をご覧ください。

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