運動した後に襲ってくる体の痛みといえば、筋肉痛ですよね。
年をとってくると、運動した翌々日になって筋肉痛が襲ってくるなんていう話も聞きます。
私も激しい運動をした翌日に筋肉痛になると、まだ大丈夫だったか、なんて思います。
なるべくなら辛い筋肉痛にならずに、運動を楽しみたいものです。
筋肉痛の予防の仕方と早く治す方法を紹介します。
筋肉痛はなぜ起きるのか。原因・メカニズム
実は、筋肉痛の原因は医学的にははっきりと解明されていません。
以前は、乳酸という疲労物質が溜まってくるからだと言われていました。
ただ乳酸が原因だとすると矛盾する点もあり、乳酸が筋肉痛に影響しているという認識が変わってきています。
代わりに有力になってきているのが、筋肉を構成している筋繊維や結合組織が損傷し、その炎症による痛みが筋肉痛になっているという説です。
ただ痛みを伝える神経は、筋膜には接合しているものの筋繊維には接合しておらず、筋肉の炎症という説にも矛盾点があります。
今の医学でも、筋肉痛という昔からある症状の原因・メカニズムが明確には分からないというのは意外ですよね。
筋肉痛が遅れてくる理由
「年をとると筋肉痛になるのが遅れる」
よく聞く話ですよね。でも、これただの迷信かもしれないんです。
筋肉痛になるのが遅くなる原因は、細胞分裂が衰えることにより回復力が遅くなるからだと考えられていました。
しかし現在では、筋肉痛が遅れてくるのは老化というより、運動習慣や筋肉の質、使った筋肉の種類といったことが原因だと考えられています。
- 運動習慣がない人は、筋肉も衰えており、鈍った筋肉だと筋肉痛になるのが遅い
- 運動の種類や強度によって変わる
- 使う筋肉の種類や部位によって変わる
こういったことが原因だと言われています。
簡単に言ってしまうと、激しい運動(筋肉にかかる負荷が高い運動)をすると筋肉痛も早く出やすく、弱い運動(筋肉にかかる負荷が弱い運動)だと筋肉痛は遅れて出ます。
若い頃は、激しい運動をすることが多いので、筋肉痛は早く出ます。
年をとってくると、ハイキングや登山、長い時間をかけた運動をすることが増えてきます。
こういった運動だと、筋肉痛は遅れて出ます。
実際に、18~22歳の人と60~70歳代の人とにダンベルを使い、負荷の強いトレーニングをしてもらった場合には、筋肉痛になるまでの時間は変わらなかったという実験結果もあるそうです。(https://kaken.nii.ac.jp/d/p/14580049.ja.html)
「年をとると筋肉痛になるのが遅くなる」のは、加齢によって体が変わったせいではなく、する運動が変わったせいで、使う筋肉も変わるからということのようです。
筋肉痛の予防法
筋肉痛になってから治すよりも、予防するほうが効果的です。
筋肉痛の予防法1 ウォーミングアップ、クールダウン
筋肉痛を予防するためには、運動前後のウォーミングアップとクールダウンが欠かせません。
ウォーミングアップメニュー
ジョギングやランニング、体操、体を動かしながら行うストレッチ、短い距離のダッシュといったメニューを行うといいでしょう。
体をほぐして、温めることが大事です。
少し汗ばむくらい行うといいでしょう。
クールダウンメニュー
ジョギングやウォーキング、筋肉や筋を伸ばして体の柔軟性を上げるためのストレッチといったメニューがオススメです。
ジョギングやウォーキングは徐々にペースを落としていきます。
ストレッチは体が温まっているうちに行うと効果的です。
筋肉痛の予防法2 こまめな水分補給
一昔前は運動中には水を飲むな、と根性論がよく聞かれましたが、最近ではこまめな水分補給が体に大事なことは常識です。
汗で体から水分が奪われていく一方では、体内の血液はどんどんドロドロになっていきます。
酸素や栄養が十分に運ばれなくなってしまい、運動能力も下がりますし、筋肉痛にもなりやすくなってしまいます。
安全に運動するためにも、こまめな水分補給を心がけましょう。
筋肉痛の予防3 アイシング(運動直後)
プロ野球を見ていると、登板したピッチャーがマウンドから下りた後に、利き腕の肩や肘をアイシングしているのをよく見ます。
強い負荷を体の一部にかけてしまった場合などは、その部分をアイシングすると痛みが発生するのを予防できます。
筋肉が炎症して痛みが出てから行っても効果がありますが、運動直後に行うのが最も効果的です。
氷をビニール袋に入れてタオルで巻いたり、風邪を引いたときに頭を冷やすアイスノンなど冷却用の枕を使ったりして患部を冷やしましょう。
シャワーで冷水を浴びせるだけでも効果があります。
筋肉痛の治し方
まずは、筋肉痛があるときは筋肉を休ませるのが原則です。
休ませるだけでなく、いくつかの対処法により筋肉痛を和らげることができることは判明しています。
筋肉痛の治し方1 アイシング
予防でも紹介しましたが、筋肉痛になってからでもアイシングは効果があります。
ただし運動後なるべく早く冷やすことが大事です。
運動してから1、2日までがアイシングの目安です。
アイシングは1回あたり20分程度。1日に数回に分けて行うのがいいでしょう。
筋肉痛の治し方2 温熱療法で温める
お風呂に入って温めるのも、筋肉痛の回復を早めます。
ただし、運動直後や痛みが激しい場合には血流がよくなって炎症を促進させてしまうので控えたほうがいいです。
痛みが落ち着いてきてからにしましょう。
体を温めると血流がよくなって、疲労物質を体外に排出し、傷ついた個所を修復するための酸素や栄養がよく運ばれます。
新陳代謝を高めます。
筋肉痛の治し方3 筋肉を柔らかくほぐす
筋肉が硬くなり張っている感覚があるなら、柔らかくほぐしてあげて血流が良くなるようにすることで回復が早まります。
温めた場合と同じように、血流がよくなると酸素や栄養素がきちんと体に行き渡るからです。
筋肉を柔らかくほぐすのにいい方法は、かるいマッサージです。
マッサージは強く揉みすぎると悪化してしまうこともありますので、素人がやる場合には撫でる程度、気持ちいいくらいにしておきましょう。
強いマッサージだと、かえって損傷を広げてしまうことがあります。
筋肉痛の治し方4 軽めの運動をする
ウォーキング、かるいジョギングくらいの運動をすると、筋肉痛が早く回復することが分かっています。
マッサージと同じような効果が見込めるからです。
筋肉痛の治し方5 栄養補給
筋肉をつくる材料となるタンパク質をしっかり摂取しましょう。
体を動かすエネルギーが足りていないと、摂取したタンパク質が体を動かすために使われてしまうので、エネルギーも補給しましょう。
果物などに多く含まれるビタミンCには疲れをとる効果があります。
乳酸の生成を抑えてくれる「クエン酸」もおすすめです。
黒酢、レモン、梅干しなど酸っぱいものにクエン酸は多く含まれています。
おすすめの食品一覧
- 肉類、魚介類、大豆製品、卵、ゴマなど(タンパク質)
- うなぎ、豚肉、レバーなど(ビタミンB1)
- にんにく、とうがらしなど(ビタミンB6)
- 黒酢、レモンなどの柑橘類(クエン酸)
- レバー、牡蠣、大豆など(亜鉛)
筋肉痛の治し方6 睡眠
疲労回復には、なんといっても睡眠です。
眠っているあいだに体内には成長ホルモンが分泌され、傷ついた体を修復します。
激しい運動の後は、十分な睡眠時間を確保することが疲労回復に大事です。
筋肉痛と上手に付き合って、運動を楽しみましょう。
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