スポーツ好きの方にとって、怪我はいつも隣合わせで避けて通れないですよね。
そこで大切なのは怪我をした時の対処法です。
私も現役時代はよく怪我をしていたので受傷直後は痛みと焦りでパニックになってしまった思い出があります…。
ここでの対応がその後のプレーの質や選手生命を大きく左右してしまうので、足首の捻挫を持病にしてしまって後遺症を残さないように、病院での治療の前に自分でできる応急処置の方法をマスターしておきましょう。
スポーツトレーナー、インストラクターを養成するスポーツ系専門学校で、スポーツ科学を専攻し、解剖学、運動生理学、バイオメカニクス、スポーツ栄養学等、健康と人体の構造と本質について学んだ私がお伝えします。
捻挫とは?
捻挫とは、関節に何らかの外力が加わって、可動範囲の限界以上に引き伸ばされ、靭帯や関節包が一時的に伸びた状態、または切れてしまった状態をいう。
捻挫は足首の怪我と一般的に認識されているほど、普段スポーツをしない人でも普段の生活の中でもかなり受傷しやすい場所と言われています。
足首の捻挫の原因
- 階段を踏み外す
- コンディションの悪いグラウンドでくぼみに足をとられる
- ジャンプの着地や切り返し、ストップ動作で起こる
ダメージの程度と治療期間
軽度のダメージ
靭帯が引き伸ばされてその一部が切れてしまった状態。
一過性の部分的な痛みがあり、患部側に体重を乗せることができる。
腫れも小さいのでダメージを受けて方向に靭帯を伸ばすと痛みを感じる程度。
治癒するまでにかかる期間は7~10日間程度。
中度のダメージ
靭帯や関節包が不完全に切れている状態。
持続的な痛みがあり、体重をかけると強い痛みがあるので歩くことが難しい。
腫れが大きく内出血もある。
治癒するまでにかかる期間は2~8週間程度。
X線などの精密検査を受ける必要がある。
重度のダメージ
靭帯や関節包が完全に切れてしまった状態。
痛みや腫れ、内出血が激しく不安定感もある。
治癒するまでにかかる期間は2か月以上がほとんど。
精密検査を受けたのち、完全に回復させるには靭帯再建手術などの必要がある。
捻挫発生時の簡単な対処法
受傷直後の応急手当
ここではスポーツ中、日常生活の中で起こった捻挫の処置「RICE処置」について説明します。自分で施すことも出来るのでしっかり覚えましょう。
PRICES処置
応急処置の基本として、PRICES(プライシス)処置があります。
RICE処置に、PとSを加えたものです。
PRICESは、Protect:保護、Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上、Stabilization/Support:安定・固定の6つの頭文字です。
捻挫(ねんざ)、打撲(だぼく)、肉ばなれ等の怪我に対応できる応急処置です。
PRICES処置を行うと、内出血や腫れ、痛みを抑えるのに効果的で、処置が早ければ早いほど回復のスピードは早くなるので、とても有効な応急処置です。
Protect:保護
まず最初に行うことは、怪我をした人、患部の保護に努めます。
スポーツ中にグラウンドやコートで負傷した場合、速やかに安全な場所に移動しましょう。
Rest:安静、休養
プレーを続けることが難しいと判断した場合は、患部を動かすとさらに悪化する恐れがあるのですぐに安全な場所に移動します。
座る、横になるなどして(足首の捻挫の場合は仰向けがいいでしょう)、安静な状態を保ちましょう。
Ice:患部の冷却
応急手当として患部の冷却(以下アイシング)は、内出血や組織液の流入を最小限に抑え、患部の腫れや痛みを防ぐのが目的です。
冷やすことによって患部とその周囲を一時的に冬眠状態にさせて損傷部位の広がりを防ぎます。
アイシングの方法としては氷のうや、なければ氷をビニール袋に入れて平らに馴らし、空気を完全に吸い出して板状にすると固定の処置が楽になります。
凍傷を防ぐために患部にタオルを巻いたりアンダーラップを巻きましょう。
アイシングする時間は、ずっと冷やし続ければいいというものではなく、急性症状の捻挫に対してはアイシングを30~40分間、休み40~60分間を1セットとし、症状によっては48~72時間行うといいでしょう。
Compression:圧迫
この処置の目的は患部を圧迫することで損傷部位への血液やリンパ液の流入を防ぎ、腫れの広がりを最小限に抑えることです。
圧迫は冷却と同時に行うので、腫れが予想される部位に対しスポンジ製のパッド、なければ靴下やストッキング、おしぼりをこよりのように細くひねってU字型を作ると代用できます。
パッドを当てて弾性包帯を2~3周巻きつけます。
強く圧迫しすぎてしまうと循環障害を起こしてしまう恐れもあるので、患部の周囲をクルクルと転がすように巻くくらいがいいでしょう。
Elevation:挙上
患部を心臓よりも高い位置で保ち、内出血やうっ血、腫れを防ぐために行う処置方法です。
重力の関係でも挙上した方が患部の血圧が低くなるので、血管外に出ていく血液量が抑えられ患部の内出血を防ぐことができます。
台などを使って捻った足首を心臓より高い位置でキープしましょう。
Stabilization/Support:安定・固定
患部を固定して安定に保つことで、内出血・腫れ・痛み・炎症の抑制に効果があり、患部の修復が効果的に行われるので治癒速度が上がります。
添木や三角巾を用いて固定し、動かさないようにするといいでしょう。
応急処置を施した後は速やかに医療機関を受診しましょう。
それまでの処置としてテーピングを巻いておくと患部を圧迫することによって腫れを抑えることと、固定して動かさないようにすることで捻挫の再発を予防する役割もあります。
ケガの治療・予防のためにテーピングによる保護を紹介します!
簡単なテーピング方法
テーピングの種類
- 弾性包帯・・・アイシングの固定や股関節、肩関節等大きい関節に使用。
- アンダーラップ・・・肌を守るためにテープの下地として巻く。
- ホワイトテープ・・・非伸縮性で蒸れにくく、はがす時の痛みが少ない。スポーツの現場でよく使われている。
- キネシオテープ・・・伸縮性があり、肌に直接貼って使用する。患部を固定するのではなく筋肉や関節のサポートが目的。
- デニバン・・・強度が高く、使い勝手が良い伸縮性の粘着テープ。ホワイトテープのように固定にも使え、キネシオテープのように筋肉のサポートにも使える。
- ソフト伸縮テープ・・・軽めのサポートをする時や動きの大きい部位に使用する柔らかい伸縮テープ。
簡単なテーピングの巻き方
内反捻挫の場合
【スターアップ】
①初めに椅子に座り、向かい合わせに置いた椅子などに足をかける。
皮膚の保護とテーピングのずれ防止にアンダーラップを指の付け根からスタートし足の甲を通って足首まで巻く。
テーピングを施す部分にはまんべんなく巻きましょう。
②次にホワイトテープを巻きます。1本目は内くるぶしの10㎝くらい上からかかとに向けてしっかり引っ張りながら貼り反対側まで巻き上げる。
③2本目は1本目のななめ後ろにアキレス腱を外して貼る。
④3本目は2本目とは逆にすね寄りにななめに貼り、4本目は1本目と同じ位置に貼る。
巻き方のポイント
テープはかかとの骨(踵骨)の上に重なるように巻いていきましょう。
外反捻挫の場合は内反捻挫とは逆に外側から内側に巻き上げるようにします。
【サーキュラー】
⑤スターアップのスタート(内くるぶしの10㎝くらい上)からふくらはぎを通って下方向に内くるぶしに向かって重ねながらクルクルと連続して巻き付ける。
巻き方のポイント
テーピングを巻き終わった後、見た目がきれいでもフィットしていないと意味がありません。緩すぎず、きつく締めすぎず、筋肉や腱にくい込んでいないかどうか注意しましょう。
痛みが長引く時は、一度専門家に診てもらったほうがいいです。
ケガの予防や応急処置の知識は大事
スポーツに怪我はつきものですが、予防や応急処置の知識を持っていればその後のコンディションやパフォーマンスは格段に違います。
スポーツを長く楽しめるように、健康な体でいれるようにきちんとケアをして再発防止に努めなければなりませんよ。
引き締まった体で、いつまでもカッコよくいたいあなたに、スポーツインナーを紹介します。